機動武闘伝Gガンダム〜25周年目に想う

 

過去にGガンダムをバカアニメとして取り上げた記事を書いたが、それも15年近く前だ。

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2019年〜2020年に掛けてTOKYO MXで1週1話の再放送があったので

ミッチリ1年分見返してみると若い時に見たのとは違う感想を受けた。

 

Gガンダム冷戦説!

大きな戦争があり、被害が拡大しすぎたのでガンダムファイト=スポーツで主権国を決める事にした世界。

ガンダムファイトは司会のストーカーさんが「なんとスポーツマンシップに溢れた戦争でしょう」と言うように

スポーツの皮を被った代理戦争なのだが、

ネオジャパンのファイターは武道家であるドモンだけどバックボーンにはウルベはじめ軍が出張ってきているし、

2話チボデー戦でネオアメリカは政府機関の黒服が対戦相手のドモンを暗殺しようとするし

5話アルゴ戦のネオロシアは対戦相手を拉致監禁して不戦勝&技術を奪って、被害者も出てる。

挙げてくなら7話チコ・ロドリゲスも地球で病気の妹と余生を過ごす為に逃亡して国家反逆罪で終われてるし

ご存じのようにウォンは主権国家の元首権限で無限の権限を振るってるし

ノーベルガンダムのネオデンマークは人体実験をガンガンしてる。

全然スポーツの皮を被れてない!!

実はドモンが兄を追うと言う謎解きと、武道家のピュアな視点での腕試しの視点で描かれてるので

視聴者もそう見えてしまうけど、これは格闘技やスポーツばかりに目が行く叙述トリックではないか!!

割とマスターキートンとかにも出てくる国の諜報機関同士の水面下の戦いとかで見る。

 

この説は最終章。ガンダムファイトが終わった後にウルベがデビルガンダムを奪いデビルコロニーになった際に、

今まで敵だったガンダムファイター達が協力するガンダム連合回で更に際立つ事になる。

 

ネオアメリカコロニーは自由の女神から巨大ビームを出す「自由の女神砲」で攻撃して

ネオエジプトは巨大MSスフィンクスガンダムを起動させるし、

ネオスウェーデンはスペースコロニーの淵に風景のようにいるネーデルガンダム39機を出撃させる。

ネオデンマークは大量のマーメイドガンダムプロトタイプが出撃。

それでは追い付かずネオスウェーデンは地上からシャトルにモビルファイターがしがみつく形で打ち上げて

次々とガンダムファイターを宇宙に送り込みデビルコロニーと対峙する。

 

画ヅラが面白いのでギャグに見えてしまうのだけど(他シリーズのガンダムが多数カメオ出演するのもあるし)

これってカオス戦争から60年だった本放送時の13回大会でも、

いつでも戦争できる戦略兵器を各国が持ってるって証左なのよね。

 

だからこそ国の都合に一切頓着しないドモンが武道と信念に愚直に突き進んだ結果、

各国のわだかまりをガンダムファイター同士が乗り超えてガンダム連合が出来あがると言うカタルシスが際立つのだけど。

そして本放送は1994年スタート。現実の冷戦が1989終結だったのを考えると

現在Gガンダムを振り返る際に、冷戦を生きて見た後の時代だったと言うのは頭の片隅に置いておくべきかもしれない。

 

 

Gガンダム1年戦争説!

ガンダムファイトは地球を舞台に1年がかりで行われるのだが、

1話で打ち解けた刑事が「嫌な1年がはじまったぜ…」からはじまって、

最終回でドモンはデビルガンダムに取り込まれたレインに

「俺は無我夢中で戦った!でも終わってみれば周りは後の事しか考えちゃいない…

…それで俺達の1年が終わってしまって良いわけがないだろう」とその後も1年を連呼して呼びかけ続ける。

そしてこのセリフは視聴者も1年、ドモンと共に歩んだだけに重みがある。

玩具アニメの衣をまぶして戦争を書いた富野監督に対し、

今川監督は熱血アニメの衣をまぶして宇宙世紀じゃない戦争を描いたのではないか。

Gガンダムはドモンの一年戦争だったと言う事ではなかろうか。穿ちすぎか。

 

そして当時を振り返るとZZガンダムで地上波枠を失ってから逆襲のシャア、F91の劇場枠、0080などのOVA枠だった時期を超え、

前作Vガンダムで地上波枠に返り咲いた後の2作目。

今となっては珍しくないが「初の富野監督作品ではない」「初の宇宙世紀じゃないガンダム」だったんだよね。

今川監督は当時大変だったとのコメンタリーがあったと聞く。

つまり今川監督にとっての1年戦争(4クールアニメ)でもあったと言う事だよ!!

穿ち過ぎた。

 

 

東方不敗マスターアジアの功罪

前述の大昔の記事では東方不敗マスター・アジアについてキャッチ―に取り上げた。

そして俺は死ぬほど好きなのは前提にして欲しいんだけどマスターアジアの功罪と言うのをたまに考える。

12話で華々しく登場して男子の熱血好きに刺さってファンを増やしたのはめちゃくちゃ重要なのだけど、

キャラが強すぎる余りに戦争アニメの面が見えづらくなったり、リアリティーレベルの激変を起こしてると思うのよね。

アジアンムービーパロが強いのも気になるが、1クール目の地味さで1年乗り越えるのも厳しいし、

ドモンの物語には不可欠だし、なにより前回覇者(戦争の英雄)が反戦から人類絶滅まで振り切るのこそ戦争なのよな。

ドモンの説で言うなら師匠も含めて Gガンダムの一部なのかも。

 

しかし軍事戦争をスポーツでの代理戦争にしたガンダムファイトが歴史の裏から世界に秩序をもたらすシャッフル同盟の表世界への介入かつ、

武道の桁違いの達人で東方不敗が三連覇で君臨して誰も覆せなかった時点でシステムが破綻してた説。

これはもう少しシャッフルについて考える必要がある。

一応若きマスターアジアスピンオフのガンダムファイト7thは読んだんだけど、一度手放してしまったのよなぁ。

あと決勝大会が終わってからデビルコロニーになる辺り。

宇宙に行く途中でネオジャパンのガンダムキャリアーが壊れたから風雲再起が助けてくれる流れはうろ覚えだったのを再放送で確認した。

風雲再起がマスターアジアの前回大会だかの副賞だったと思うんだけど、

東方方不敗だけが大気圏外行ける航宙戦力持ってたのかと思うと地味にヤバい。

 

 

ところで余談だけど自分は真面目なオタクなので、パロディやオマージュの元になった名作とかわざわざ調べて見たりする癖があるので

Gガンダムの東方不敗パロディ元と言う事でスウォーズマン笑倣江湖、女神伝説、女神復活とかとか漁ってみてた。当時はまだレンタルにあったしね。

石破天驚拳の演出の巨大な手形にヒビが入るのとか、デスアーミーの弾投げ返すシーンのオマージュ元があるよ。

 

 

ネオインド代表:チャンドラ・シジーマ

ところでGガンダムと言えば、何かの曲の歌詞で「静寂(しじま)」って出てくると

コブラガンダムに乗るネオインド代表、チャンドラ・シジーマを思い出すよね

みんなも以後思い出してくれ。

 

 

 

1話のカンペキな構成について。

Gガンダムの話題ついでに。前の記事のように俺はGガンダム1話が一際好きなのだけど、

先日の再放送で振り返ってみると実に構成が美しい事に気づく。

 

奇抜なガンダムファイトと言う代理戦争を良く分からないレフェリーおじさん(ストーカー)が説明しきる事で世界観を納得させ、

ガンダムファイトをすると街が壊れて市民に疎まれると言う終盤のテーマをいきなり明示して、

マカロニウエスタンのようなベタベタの悪漢が支配する街に無頼の主人公が現れ、

銃弾を素手で受け止める事で「あぁ…こう言う世界なのね…」と視聴者にリアリティレベルを見せつけつつ

その手にキングオブハートの紋章を見せつける。

なんだか分からないけど視聴者を納得させる理由を付け、

追いかける人物の謎を撒きつつ、恨まれてた刑事と和解してピザ貰ってハードボイルドに完!

「いやな1年がはじまったぜ…」とガンダムファイトとこのアニメが1年続く事を示唆する。

完全過ぎる構成!!

お手本のような美しさ。

 

2021.2.18

 

 

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