ジーザス 

原作・七月鏡一 漫画・藤原芳秀 サンデーコミックス 全13巻(愛蔵版全7巻) 

まず最初に言わねばならない。

この漫画はバカマンガでは無い!

純然たるハードボイルドアクション劇画だ!

さて、いきなり矛盾した事を言ってはいるが、

あまりにもカッコ良すぎるキャラ、熱すぎる名言の数々にオイシイ展開、

そしてヘタするとC級ギャグマンガになりかねない「殺し屋が教師に!」という設定を

大真面目に劇画でやられてしまうと

罪深い俺はバカマンガとしても優秀に見えてしまう!

よってここで紹介するを次第になった。

 

ただ単に普通の良作を紹介するコーナーが無いだけとか、それを作るのが面倒だとか言う理由では無い…多分…

そんな気になる面からは積極的に目を逸らしつつ作品紹介。

 

主人公ジーザスはある者からは恐怖の死神と恐れられ、

又ある者からは最高の戦士と讃えられる最強の殺し屋だ。

その名の由来は戦った相手はいつも最期に「ジーザス(畜生)!」と叫ぶからだ。

村上的名セリフ1

「ジーザス!」「俺の名だ。地獄に落ちても忘れるな」

 

そのジーザスも謎の組織「24」から1トンのヘロインを奪い、多くの追っ手を屠るも最期の時を迎えた。

…かに見えた!

それはジーザスに酷似している急死した別人で、ジーザスは自らの死をカモフラージュに逃走する。

登場人物1

ジーザス…情けは無いが情には厚い伝説の殺し屋。今までの自分と全く別の世界「教師」を演じるハメに。

樫原…ジーザスの身内代わりの爺様。日本最高の情報屋「オールドギース」としての顔を持つバーテンダー。

 

しかし誤算が!

身代わりにした「藤沢真吾」は私立高校の教師に内定していたのだ!

前述したとおり教師をする羽目になった殺し屋。

「逃亡するまでの間なんの問題も起こさずに…」

そう思う数秒後には不良生徒をブン投げからまれるジーザス。

授業中もカバンの金具の音が撃鉄の音に聞こえては身構え

カンペンの音がコッキング音聞こえては伏せ、工事の音は銃弾掃射に聞こえ黒板をブッ壊し

そしてシャーペンの蓋を取る音が手榴弾のピンの音に聞こえドアをブチ抜き外へ飛び出す有様。

 

「もう教師には耐えられない」とムリヤリ国外逃亡を図るジーザス。

すると偽装した1トンのヘロインがサッパリ無い!?

「いったいどんな荷にカムフラージュしたんだ?じいさん…」

「学校用の黒板なんだが…」

 

数行上の赤い太字に注目。

この所為で学校の黒板が総張替えになり、ジーザスは旧校舎を取り壊す来年春まで1年間

教師としてのサバイバルを生き延びねばならない事に!

 

村上的名セリフ2

「まったく危険が好きな奴じゃわい」「危険の方が俺を好きなのさ」

その後も学校を狙う地上げ屋が!

ヘロイン入り黒板を護る為に武器密売をする暴力団を潰すジーザス。

すると、そこの幹部は実は軍出身のバトルフリーク!ジーザスに戦いを挑んでくる!

 

登場人物2

牧口(豹)…柴山組の幹部だった軍経験者。自らを闘いにしか生きられない「ケモノ」「豹(オンサ)」と称し、

       同じケモノのジーザスに戦いを挑む

 

村上的名セリフ3

「お前を殺す!俺を殺せ!」 

ジーザス「殺してやるよ!それが俺たちの礼儀だ」

そして息つく間も無く次なる危険が!

ジーザスにからむ不良生徒戸川は夜の街で殺人黒空手集団と遭遇!

ジーザスと危機を脱するも、間近に迫った空手大会で奴らが暴れる!

 

登場人物3

戸川誠二…ジーザスになにかにつけて突っかかる不良少年。ジーザスの子供時代に似ている。

暗殺インストラクター 法間 亮介…テロリストに格闘技術を仕込む男。殺人空手集団を育成する。

三崎かおる…「24」の若き幹部。ジーザスを執拗に付けねらう。

ここで注目したいのは法間。

何だ「暗殺インストラクター」って!?

一見頭の薄い中間管理職風の容貌だがコイツはおそらく本作中最強の男(笑)

3メートルほど跳躍し、天井を蹴って奇襲!恐るべき体術(カポエラキック)でジーザスを襲う!

至近距離からの発砲を避け、高圧電流+357マグナムを腹に直撃してもなお生きている!!

凄いぜ法間!

 

その後も

犯罪ジャーナリストのお姉ちゃん(サブマシンガン常時携帯)に嗅ぎ回られ気に入られたりする中、

ついに24の刺客が!

登場人物4

御堂真奈美…三崎かおるの部下の超凄腕女性スナイパー。「虎」の異名を持つが、

 本人は非常にそれを嫌い、呼んだ者を生かしておかない。

ジーザスのいる高校に保健医として赴任してくる御堂。

ジーザス本人か試す御堂のレーザーサイトに晒されながらのドキドキ授業。

 

美少女となんの因果か一つ屋根の下で暮らす事に!

待ち受けるドキドキライフ!

ってのとシチュエーションが似ているような気もするが

ドキドキの質が全く違う。

 

語るとキリが無いのでダイジェストで。(注!ネタバレ多し!)

・暴力団の抗争に巻き込まれながらも戦うジーザスと御堂。ショッピングセンター大銃撃戦

・暴力団の幹部は外人部隊出身者!(またかよ!)学校を占拠しジーザスを陥れる!

・藤沢真吾の妹が上京!正体を見られた!?葛藤の中、別の殺し屋に誘拐される妹!

・語られるジーザスの過去!心の父との出会い、「牙」を生やした少年。そして別れ。

・ジーザスの顔をした、偽ジーザス!カタリで香港マフィアに宣戦布告!香港マフィアからの暗殺姉弟も襲い来る!

 

割り込み登場人物5

香港マフィアからの追手!黄(ホアン)3姉弟

クリス黄…暗視スコープと鉄の爪でが武器。催眠により、醜い自分の顔のトラウマをバネに戦闘能力を強化される。

ジョルジュ黄…電撃ムチ付きナイフ二刀流が武器。絶縁用全身タイツに身を包む。

アンドルー黄…鋼鉄男。357マグナムさえ弾く鉄の鎧で全身を被う。

なんて恐ろしい変態 殺し屋だ!

注目すべきはクリス黄。

催眠で自分を醜いと思っているだけで実は超キュート。

顔と言い、名前と言い作者は結構な映画好き(らしき所が伺える)なので

おそらくクリスティーナ・リッチがモデルだと予想する!

しかし数コマ後ジーザスに殺されるんだけどな。

 

村上的名セリフ4 決闘前の2人の思い。

「古い思い出を捨て去ると、胸には奇妙に熱い感情だけが残る。恋よりも激しく、怒りよりも熱い――――」

「この血の色の感情。いま、ヤツも味わっているはずだ。この奇妙な感情を闘志と呼ぼうか?」

「ヤツを激しく求めながら、ヤツの喉に牙を立てる瞬間を心待ちにしている俺がいる」

「俺がヤツより強いのか、ヤツが俺より強いのか、確かめずにはいられない」

銃火が俺の贈る花束となり……」「銃声が俺の贈る恋歌となる……」

「そして最後に……俺の銃弾がヤツを貫く!」

そして息つく間も無く次なる危険が!

 

続き

・ナパーム投下!炎に包まれる新宿御苑!

・心の父と廃遊園地での死闘!

・林間学校が恐怖山脈に!1学年の生徒を庇いつつ24の快楽殺人者からの逃亡サバイバル。

・東京湾に偽装戦艦!

・ジーザス、仲間の仇!生身vsアパッチ!(戦闘ヘリ)東京空中大決戦!

 

ふぅ一杯書いてしまった。

見てもらえれば分かると思うが、1戦1事件、それぞれだけで映画の題材に出来そうな程、豊富なアイディアが

惜しげも無くふんだんに盛り込まれている!

終盤は打ち切りの波に煽られるもキレイなラストを迎える本作。

読後には感動とともに、今の世がわすれかけた

男らしい強さ、気高さ、優しさ、不器用さ、そして哀しさ…

そんなハードボイルドを感じられるだろう。

 

もし万が一コレを見て「ジーザス」を読みたくなった人がいたら助言を。

「全巻セットで買え!」

勢いの問題もあるが、「安いぜ!」とか思ってバラで買っていると

後半数冊がサッパリ見つからなくなる恐れがある。

…仕方ないから小学館から直接通販したよ…

 

〜最後に〜

このレポート、オイシさを軸に書かれている為

2人のヒロインの紹介が無かったり(!?)と大幅に偏った物になっている。

当社取引先の「虹の色23区」さんではまた別の角度から特集しているので、

興味があるかたはそちらもいかがでしょう?

 

「虹の色23区さんジーザス特集1・名セリフ編 ジーザス特集2・敵編 ジーザス特集3・完結編

 

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